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東京地方裁判所 昭和53年(ワ)2354号 判決 1980年2月28日

原告 株式会社 武甲

右代表者代表取締役 伊藤吉雄

右訴訟代理人弁護士 有賀功

被告 前原弘毅

右訴訟代理人弁護士 村岡三郎

主文

被告は原告に対し、三七〇万円及びこれに対する昭和五三年三月三一日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

原告のその余の請求を棄却する。

訴訟費用はこれを二分し、その一を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。

この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求める裁判

一  原告

1  被告は原告に対し、六六八万一七九七円及びこれに対する昭和五三年三月三一日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

との判決並びに仮執行宣言

二  被告

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

との判決

第二当事者の主張

一  請求原因

1  原告は、東京地方裁判所昭和四九年(ケ)第二七一号不動産任意競売(以下「本件競売」という。)事件において、訴外下川渉所有の別紙物件目録記載の土地、建物(以下「本件土地建物」というが、右建物のみを「本件建物」ということがある。)を、昭和五〇年一〇月二七日代金一七七八万円で競落し、昭和五一年二月二三日右競落代金を完納し、同月二六日所有権移転登記を了した。

2  そして、原告が、同年三月二日訴外下川に対する不動産引渡命令を得て、本件土地建物の引渡しを受けようとしたところ、被告は、同年三月一八日、右不動産引渡命令に基づく本件建物に対する強制執行につき第三者異議の訴を提起するとともに(同裁判所昭和五一年(ワ)第二一四一号事件)、右訴訟提起に基づく強制執行停止決定を申請して、同年四月一日強制執行停止決定を得た。

3  右訴訟は本件建物引渡しの執行妨害を唯一のねらいとしてなされたものであり、被告は、たまたま被告の住民票が本件建物所在地にあったのを悪用し、あたかも訴外下川との間に賃貸借契約があるかのように主張して、これを異議の理由としたのであるが、第一審裁判所は、昭和五二年一月二七日、請求棄却の判決を言い渡した。被告は直ちに控訴したが、東京高等裁判所は、同年一二月二二日、不動産引渡命令に対して第三者異議の訴を提起することは許されないとして、「原判決を取り消す。控訴人の本件訴えを却下する。」との判決を言い渡し、被告の右判決に対する上告申立も棄却された。

4  また、被告は、妻の実父である訴外下川渉と相謀り、昭和五一年一二月二八日、訴外下川が原告となって、本件競売の基礎となった訴外荒川信用金庫を根抵当権者とする根抵当権設定は、所有者である訴外下川に無断でなされたもので無効であるとして、原告の所有権移転登記の抹消を求める訴訟(東京地方裁判所同年(ワ)第一一六七九号事件)を提起した。

しかし、この訴訟についても、昭和五二年八月一五日請求棄却の第一審判決がなされ、その後右判決に対する訴外下川の控訴も棄却された。

5  原告は、被告の右のような理由のない妨害行為により、昭和五一年三月から前記第三者異議訴訟の第一審判決によって前記強制執行停止決定が効力を失った後の昭和五二年二月四日に不動産引渡命令の執行を了するまでの間、不当にも本件土地建物の明渡しを引き延ばされ、かつ、その第三者への処分を妨害されたため、次のとおり合計六六八万一七九七円の損害を被った。

(一) 執行関係費用 六八万〇三五〇円

(イ) 執行費用 七万〇三五〇円

昭和五一年二月二五日及び昭和五二年二月五日の二回にわたり、本件土地建物引渡執行の費用として、原告が東京地方裁判所執行官室に支払った執行費用

(ロ) 執行実費 六一万円

原告が昭和五一年三月四日引渡執行の催告の際立会人に支払った立会料並びに昭和五二年一月二八日及び同年二月四日にした引渡執行の人夫賃、運送料などの合計額

(二) 弁護士費用 二〇〇万円

(イ) 着手金(費用) 五〇万円

原告が昭和五一年四月一〇日有賀功弁護士に支払った第三者異議訴訟事件及び強制執行停止決定に対する抗告事件に関する着手金三〇万円と昭和五二年五月二四日支払った同控訴事件の費用二〇万円との合計額

(ロ) 成功報酬 一五〇万円

第三者異議訴訟事件及び引渡執行に関し、原告が有賀弁護士との訴訟委任契約に基づいて支払いを約している成功報酬

(三) 家賃相当損害金 一七〇万円

被告の執行妨害によって昭和五一年二月二四日から昭和五二年二月四日までの間本件建物を使用収益できなかったことにより原告が被った一か月一五万円の割合による家賃相当損害金

(四) 借入金に対する利息 二三〇万一四四七円

(イ) 訴外太陽信用金庫分 九八万四六三七円

原告は、本件土地建物競落の際に支払った競落代金一七七八万円、登録税、切手代三〇万一〇六六円、合計一八〇八万一〇六六円のうち一〇〇〇万円を訴外太陽信用金庫からの借入金でまかなったが、右借入金に対する昭和五一年三月四日から同年六月二三日まで一一一日間の年一一パーセントの割合による利息三三万四五一八円及び同月二四日から昭和五二年二月四日まで二二六日間の年一〇・五パーセントの割合による利息六五万〇一一九円の合計額

(ロ) 個人からの借入分 一三一万六八一〇円

原告は、右一八〇八万一〇六六円のうち七九〇万円を数名の個人からの借入金によってまかなったが、右借入金に対する昭和五一年三月四日から昭和五二年二月四日まで三三八日間の年一八パーセントの割合による利息

6  よって、原告は被告に対し、不法行為による損害賠償請求として、右六六八万一七九七円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である昭和五三年三月三一日から完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1及び2の事実は認める。

2  請求原因3のうち、第三者異議訴訟が本件建物引渡しの執行を妨害する目的であったこと及び被告の住民票を悪用したとの事実は否認し、その余の事実は認める。被告は、昭和三八年八月一九日訴外下川から本件建物を賃料月額七五〇〇円で賃借し、それ以来本件建物に居住していたのであるから、被告が右賃借権を主張して第三者異議の訴を提起することは何ら違法な行為ではなく、しかも、不動産引渡命令に対する第三者異議の訴の適否については学説上争いのあるところであるから、これが許されるものと信じてした右訴訟提起について、被告に故意過失はないというべきである。

3  同4のうち、訴外下川が原告主張の訴訟を提起し、右訴訟の経過が原告主張のとおりであることは認めるが、その余の事実は否認する。

4  同5のうち、原告が昭和五二年二月四日不動産引渡命令の執行をした事実は認めるが、その余の事実は否認する。

5  同6は争う。

第三証拠《省略》

理由

一  請求原因1及び2の事実については当事者間に争いがなく、右第三者異議訴訟について、昭和五二年一月二七日請求棄却の第一審判決がなされ、被告が直ちに控訴したが、東京高等裁判所は、同年一二月二二日、不動産引渡命令に対して第三者異議の訴を提起することは許されないとして、「原判決を取り消す。控訴人の本件訴えを却下する。」との判決を言い渡し、被告の右判決に対する上告申立も棄却されたこと、訴外下川渉(以下単に「下川」という。)が、昭和五一年一二月二八日、本件競売の基礎となった訴外荒川信用金庫を根抵当権者とする根抵当権(以下「本件根抵当権」ということがある。)設定は、所有者である下川に無断でなされたもので無効であるとして、原告の所有権移転登記の抹消を求める訴訟(東京地方裁判所同年(ワ)第一一六七九号事件)を提起したが、第一、二審とも下川が敗訴したこと、以上の事実も当事者間に争いがない。

二  原告は、被告の提起した右第三者異議訴訟は不動産引渡命令に基づく執行の妨害を唯一の目的とするものであると主張し、これに対し被告は、真実昭和三八年八月一九日本件建物を下川から賃料月額七五〇〇円で賃借したのであるから、右賃借権を主張して第三者異議の訴を提起することは何ら違法でなく、故意過失もなかったと主張するので判断する。

《証拠省略》によれば、下川と被告の間には右被告主張に副う建物賃貸借契約が作成されており、《証拠省略》中には右被告主張に副う供述がある。しかしながら、《証拠省略》によれば、本件建物は、被告の妻昭子の父である下川が被告夫婦と同居するために建てたもので、被告も建築費の一部一二〇万円を負担したこと、被告は、昭和三八年八月、新築された本件建物に入居したが、一応二階を被告夫婦が、階下の二間を下川夫婦が使用することになってはいたものの、そのほかは必要に応じて共用していたことが認められる(右認定に反する証拠はない。)のであって、このような間柄において賃貸借契約を締結すること自体極めて異例のことであるのに、右各証拠を検討してみても、あえて賃貸借契約を締結するに至ったことについて首肯するに足りる合理的理由を見出すことは困難である。(《証拠省略》によれば、下川自身、被告との本件建物の使用関係を、賃借というより実質的には同居である旨供述している。)のみならず、《証拠省略》によれば、昭和四六年七月訴外東京信用保証協会の申立により本件土地建物について開始された任意競売事件(当庁同年(ケ)第六〇七号事件)において賃貸借の取調べにあたった当時の執行官に対し、不川の妻治子は、本件建物に賃貸借関係はない旨回答した事実が認められ、また、《証拠省略》によれば、昭和四九年四月本件競売事件について賃貸借の取調べに赴いた当庁執行官職務代行者水上寿治に対しても、被告の妻昭子が本件建物に賃貸借関係を有する者はいない旨述べた事実が認められ、更に、《証拠省略》によれば、原告会社の社員である訴外伊藤達夫が昭和五一年三月初め頃不動産引渡命令に基づく明渡しの催告のため本件建物を訪れたところ、応対に出た前記治子は、昭子の身体の具合が悪く、孫も学年末なので明渡しを少し待って欲しい旨懇請したが、本件建物は誰にも貸していない旨明言していたこと、右伊藤は、本件土地建物競落後数回被告に合ったが、被告は、金を作るからもう少し時間の猶予をほしい旨懇請しただけで、本件建物について賃借権の主張をしたことは一度もなかったことが認められるのであって、これらの事実をも考えあわせると、下川と被告の間に被告主張のような賃貸借契約が締結されたことは極めて疑わしいものというべきであり、前記賃貸借契約書(乙第一号証)は、第三者異議訴訟を提起するために殊更作成されたものであると認めて妨げがないというべきである。したがって、右乙第一号証並びにこれに符合する《証拠省略》は、いずれもにわかに措信できないというほかなく、《証拠省略》をもってしても前記被告主張事実を認めるに足りず、他に右事実を認めるに足りる証拠はない。

してみると、被告は、本件建物について賃借権を有しなかったというべきであり、仮にそうでないとしても、《証拠省略》によれば、本件競売の基礎になった本件根抵当権は、実質上被告が経営していた前原産業株式会社(以下「前原産業」という。)の訴外荒川信用金庫に対する債務を担保するために設定されたものであること、本件競売事件の競落許可決定に対する下川名義の即時抗告及びその棄却決定に対する特別抗告の申立は、実質的には被告が代理人を選任して行ったものであることが認められる(右認定に反する証拠はない。)のであって、右事実に前記認定の事実関係をあわせ考えると、被告が本件建物について賃借権を主張して不動産引渡命令に対する第三者異議の訴を提起することは、禁反言の原則に反し、著しく信義則に違反するもので、許されないというべきである。

したがって、被告が右第三者異議の訴を提起したことは、不動産引渡命令に対する第三者異議の訴の適否の問題を考えるまでもなく、違法であったというほかなく、被告に故意又は過失があったことは、叙上認定の事実関係に徴して明らかであるから、被告は原告に対する不法行為責任を免れないというべきである。

三  次に、《証拠省略》によれば、下川が提起した前記所有権移転登記抹消請求訴訟においては、本件根抵当権の設定契約が下川に無断でなされたとの同人の主張を裏付ける証拠としては下川及び本件被告の各供述があるだけであったが、前記第一審判決及び控訴審判決においては、右各供述は他の証拠と対比して措信できないものとされ、結局本件根抵当権設定契約は下川の了解のもとに締結されたものと認定されて、下川が敗訴するに至ったことが認められ、右認定に反する証拠はない。

ところで原告は、被告が下川と相謀って右訴訟を提起した旨主張するので判断するに、《証拠省略》を総合すると、被告は、昭和四〇年九月鉄鋼販売等を目的とする東京特殊鋼業株式会社(以下「東京特殊鋼業」という。)を設立して、その代表取締役となり、下川は監査役となったこと、昭和四五年八月頃右会社が倒産したので、同年一二月同種営業を目的とする前記前原産業を設立し、下川がその代表取締役に、被告が取締役に就任したが、前記のように実質上の経営者は被告であったこと、下川は、東京特殊鋼業が他から融資を受けるについて本件土地建物を担保に提供し、昭和四一年九月訴外全国信用金庫連合会のために債権額二〇〇万円の抵当権を、昭和四三年三月訴外荒川信用金庫のため元本極度額四〇〇万円の根抵当権を、昭和四四年一二月訴外商工組合中央金庫のため債権額三〇〇万円の抵当権をそれぞれ設定し、昭和四五年八月には、下川自身連帯債務者となって、訴外愛知産業株式会社のため債権額一〇〇〇万円の抵当権を設定したこと、そして、昭和四六年五月本件根抵当権を設定した後も、昭和四八年八月被告が訴外合信株式会社から融資を受けるにつき、同会社のため極度額五〇〇万円の根抵当権を設定したこと、本件競売事件については、昭和四九年三月一五日競売開始決定がなされたが、同決定正本の送達は下川自身がこれを受領していること、本件競売事件の競落許可決定に対しては、前記のとおり下川名義で不服申立がなされたが、被告は、前記訴外伊藤達夫に対して、右不服申立は引き延ばしを目的としてしたものである旨公言していたこと、右訴訟が提起されたのは、前記第三者異議訴訟の第一審の口頭弁論終結の直後であること、被告及び下川は、右第一審判決言渡に伴い強制執行停止決定が効力を失ったことにより、昭和五二年二月四日、不動産引渡命令の執行によって本件土地建物から退去を余儀なくされたが、その後も立退き先で円満に同居していること、以上の事実が認められる。《証拠判断省略》

しかして、右事実に被告と下川との前示身分関係等をあわせ考えると、右登記抹消請求訴訟は、下川と被告とが相謀ってこれを提起したものと推認するのが相当であり、したがって、被告は、右不当訴訟について故意又は過失による不法行為責任を免れないものというべきである。

四  そこで、次に被告の右各違法行為によって原告が被った損害の点について判断する。

1  《証拠省略》によれば、原告は、昭和五一年三月三日と昭和五二年二月五日の二度にわたり、不動産引渡命令に基づく本件土地建物の引渡執行の手続費用として合計七万〇三五〇円を東京地方裁判所執行官室に支払ったほか、昭和五一年三月四日の右引渡執行の催告の際、立会人に立会料として二万円を支払い、更に、昭和五二年一月二八日及び同年二月四日の両日にわたってなされた引渡執行の人夫賃、運送賃等として合計六八万円を支払った事実が認められるけれども、右執行関係費用は、被告及び下川が任意に本件土地建物を引渡さない限り、いずれにしても支出を余儀なくされた性質のものであり、被告が前記各訴訟を提起したがために特に支出を要した費用であるとは認められないから、被告の前記違法行為との間には相当因果関係が存しないというほかはない。

2  次に、《証拠省略》によれば、原告は、有賀功弁護士に対し、前記第三者異議訴訟事件及びこれに伴う強制執行停止決定に対する抗告事件並びに前記登記抹消請求訴訟事件に関する訴訟委任をして、昭和五一年四月一〇日右第三者異議事件の着手金として三〇万円を、昭和五二年五月二四日同事件の控訴審の費用として二〇万円をそれぞれ支払ったほか、右各事件の成功報酬として合計一五〇万円の支払いを約していることが認められる。

しかして、右弁護士費用は、右各事件の難易・複雑さ等及び日本弁護士連合会報酬等基準規程に照らし、相当なものであると認められるから、被告の前記各違法行為と相当因果関係がある損害として、被告にこれを賠償させるのが相当である。

3  次に、原告が昭和五〇年一〇月二七日本件土地建物を競落し、昭和五一年二月二三日競落代金を支払ったことは、さきにみたとおり当事者間に争いがなく、被告が、昭和五二年二月四月不動産引渡命令の執行によってその明渡しを了するまでの間、本件建物の占有を続けた事実は、叙上認定の事実関係に徴して明らかである。

してみると、被告は、原告が競落代金を支払って本件土地建物の所有権を取得した昭和五一年二月二三日から昭和五二年二月四日までの間本件建物を不法に占有したことにより、原告に対し賃料相当額の損害を与えたものというべきところ、《証拠省略》によれば、本件建物の相当賃料は月額一五万円を下らなかったものと認められるから、この間の原告の損害は、一七〇万円を下らないことが計算上明らかである。

4  次に、原告は、本件土地建物の競落代金の支払いにあてるために原告が金融機関等から借り入れた金員に対する昭和五一年三月四日から昭和五二年二月四日までの利息相当額を、被告の前記各違法行為による損害として、その賠償を求めている。しかしながら、たしかに《証拠省略》によれば、原告は、本件土地建物競落後これを他に転売し、その代金をもって右競落代金支払いのために金融機関等から借り入れた金員を返済することを企図していたところ、被告が、前記第三者異議訴訟の提起に伴う強制執行停止決定を得て、本件土地建物を明け渡さず、かつ、前記登記抹消請求訴訟の提起に伴い、本件土地建物についてなされた原告の所有権移転登記につき抹消の予告登記が経由されたため、原告の企図していた本件土地建物の転売が事実上できなくなり、原告は、その主張の期間中その主張のような金利を金融機関等に支払ったことが認められるけれども、《証拠省略》によっても、右のような障害がなければ右の期間内に原告が本件土地建物を確実に転売できたとは認め難いばかりでなく、原告は、右期間中本件土地建物を保有したことを前提として、賃料相当額の損害賠償を求め、前判示のようにこれが認容されるのであるから、右金利相当額の損害賠償はこれを認めるに由ないものというべきである。

5  してみると、原告が被告の不法行為によって被った損害は、2の弁護士費用二〇〇万円と3の賃料相当額の損害一七〇万円との合計三七〇万円ということに帰着する。

四  以上の次第で、原告の本訴請求は、三七〇万円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな昭和五三年三月三一日から完済に至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度において理由があるからこれを認容し、その余は失当であるからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条本文を、仮執行の宣言につき同法一九六条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 魚住庸夫)

<以下省略>

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